Study Room of Akihiro HIRAYAMA,
lecturer at Department of World Liberal Arts, Nagoya University of Foreign Studies
留学記 ―The University of Iowa
2023年2月11日
留学再開後の最初の留学記は、2022年春から米国アイオワ大学に留学した松原彩絵さんによるものです。アイオワ大学は、米国名門公立校のひとつに数えられ、リベラルな校風でも知られます。松原さんは、そのリベラルな大学で、まさにリベラルな学問といえるジェンダー学、女性学を真剣に学んでこられました。深い歴史 理解、緻密な理論、データによる厳格な実証に支えられたジェンダー学、女性学は、簡単な気持ちで取り組むことのできない質の高い学問です。その学問に向き合い、自分を成長させた松原さんのひたむきさの素晴らしさを、ぜひ、感じ取ってください。
留学記 ―The University of Iowa
留学するまで
私はディズニーワールドでの研修を伴うUCR特別留学に参加しようとしていましたが、新型コロナウイルスの影響でプログラムが中止になってしまい、スタンダート留学でアイオワ大学への留学を決めました。名古屋外国語大学に入学した当時はコロナの影響もあり、自分が大学在籍中に留学を経験することができるとはあまり期待していませんでした。いつ留学が再開されるかわからない状況でしたが、再開された時にはすぐに出願の準備ができるように、留学条件のTOEFLのスコアは1年生の夏までに揃えました。その後徐々に規制が緩和され、3年1期からの留学に無事出発することができました。
The University of Iowa
アメリカ合衆国の中東部に位置するアイオワ州のアイオワ市に位置するアイオワ大学。州立の総合大学で、とても治安がいい街の中にあります。キャンパスはとても広く、キャンパスの中に川が流れていて、附属病院もあります。主な交通手段はバスか車。車に乗るときは、現地の友達に頼んだりしていました。バスは乗車距離に関係なく、一回の乗車で1ドルだったので、休みの日にショッピングに出かけたりする時には便利でした。また、アイオワ大学運営のバスもあり、そのバスは無料で乗車することができます。街も綺麗なので、留学中は安心して過ごすことができました。
現地での授業
私は一年留学し、前半は語学コース、後半は学部コースを選択しました。語学コースでは、Reading、Listening、Speaking、Writing、Grammarの授業があり、エッセイを書いたり、長文を読んで問題を解いたり、映画を見たり、自分の意見を英語で発言したりする内容でした。また、授業の一環として、学内の自然博物館に行ったり、ピクニックをしたりする機会が何度かありました。
後半の学部コースでは、留学生学部生向けの英語のスピーキングの授業、ジェンダー関連の授業を二つ、韓国語の授業を受けました。
その中でも、ジェンダーの授業は課題も、事前に読まなければいけない授業資料の量も膨大で、秋学期からはほぼ毎日部屋にこもって課題に追われる生活をしていました。授業は、「女性学」で扱われるテーマが多く取り上げられ、「アメリカの歴史と女性学」や、「統計・データから見る男女の違い」など様々でした。たとえば、理系科目=男性というイメージがありますが、アメリカでは、高校生までの女子は男子より理系科目でいい成績を取る傾向があります。他には、怒りの傾向について、女性は男性に比べて、より激しく、より長く怒りを引きずるなど。このように、「そうなんだ、知らなかった、確かに!」とどれも興味をそそるような内容ばかりでした。とても大変で辛い毎日でしたが、その日々を乗り越えたからこその知識や達成感、忍耐力を手に入れることができたと思います。
留学中の試練
私が主に経験した試練は2つあります。ルームメイト問題、そして、先に少し触れた授業の課題です。
私はこの留学中に一度引越しする必要があり、前期と後期で二人部屋で生活しました。日本には自宅に当たり前に一人部屋があり、自分の好きな時にリラックスできる空間が常にあったことに気付かされました。前半のルームメイトは深夜や早朝にスピーカーにして誰かと電話したり、勝手に男友達を部屋に連れ込むような人で、簡単に自分のプライベートが奪われたような感覚でした。後半のルームメイトとはとても良好な関係でしたが、一人の時間が好きな私にとっては毎日ストレスがコツコツと積み重なるような生活でした。その生活を耐えた代わりに、強靭なメンタルと忍耐力を手に入れることができたと思います(笑)。
授業に関しては、学部授業が始まる際に、4科目全ての教科で8割以上の成績を取るという目標を立てていたのですが、最初のテストでとても悪い点数をとってしまい、同じくレポート課題もボロボロの点数で返却されました。「このままではいけない!」と思い、後半約4カ月間の学部授業期間は毎日食べる・寝る以外の時間はほぼ全て机に向かっていたと思います。教授にも直接助けを求めました。すると目に見えて成績が上がっていき、毎回のレポート、テストでクラス平均を上回るようになり、最後には8割以上を取るという目標も達成することができました。
本音を言うと、当時は大変で、早く日本に帰りたいという思いばかりでした。しかし、留学生活を無事に終えて日本に帰国して少し経った今は、留学に行って全てが楽に楽しく思い通りになるよりも、大変な経験をしたからこそ、自分の内面は留学前と比べても大きく変化したことを身をもって実感でき、それらの試練を自分の力で一つ一つ乗り越えることができたことは、大きな自信にも繋がりました。