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留学記―University of Oregon

2023年4月3日

留学再開後の留学記第二弾として、祝迫彩乃さんのものをお届けします。祝迫さんは2022年春からオレゴン大学に留学し、自身の関心である移民問題に関連した学びを深めてきました。名古屋外国語大学ではオレゴン大学のような名門公立大学への留学機会が用意されており、留学を目指す学生には、ぜひ、その挑戦してほしいです。もちろん、それらの大学での学びはハードルが高く、試練の連続になると思います。ですが、祝迫さんも書いているように、大きな試練の経験は、それが大きなものである分だけ、人間としての成長につながります。

留学記―University of Oregon

はじめに

私は大学3年生を迎えた春から、アメリカ合衆国のオレゴン大学(University of Oregon)で9か月間の交換留学を経験しました。私がこの大学で経験した沢山の心躍る体験をぜひ皆さんに共有し、楽しんでもらえれば、また、これから留学にいきたいと考えている方の参考になればよいなと思っています。

留学目的・ゴール

私は、名古屋外国語大学入学当初から留学を夢見ていました。大学で様々な異文化体験を積み、より広い視野で社会のことを考えられる大人になりたいと思っていたからです。また、大学入学後、日本に暮らす海外ルーツの人々が沢山の困難を抱え生活をしていると学び、日本以外の国々の移民政策 に関しても、より深く学びたいと考えるようになりました。新型コロナウイルス感染症の流行真只中ではありましたが、目的達成の強い意志をもって、移民国家であるアメリカ合衆国に留学することを決断しました。

春学期

オレゴン大学には沢山の日本人が留学にきています。語学授業初日は、その日本人の多さに衝撃を受けました。学校では日本人との友人グループができやすく、現地 の友人や異なる国からやってきた留学生の友人をつくりにくい状態でした。現地で友達をつくり、思い出をつくることが留学目標の一部(異文化体験・語学力向上)を達成するための鍵だと思っていた私にとっては大きな壁となりました。実際に最初の1、2か月間は日本人の友人と行動することが多く、日本とほとんど変わらない生活を送りました。

ある時そんな自分に嫌気がさし、現地の友達をつくるために自分で考え行動に移しました。先生に相談したり、様々なイベントや日本語ボランティアにも参加しましたが、その中でも大学内のイベントへ積極的に出席したことが良い結果に繋がりました。英語が完璧ではなくても挑戦してみようという心構えで、イベントにきた現地学生に沢山声をかけ、明るく接することで、徐々に現地の友達が増えていきました。留学生活を彩ってくれる素敵な友人が春の間にできてゆきました。

 

夏学期


夏学期では、寮生活からホームステイでの生活に変更しました。ホームステイのほうが、生活の色々な場面で沢山の異文化体験ができると考え挑戦しました。ホストマザーはとても優しく、ご飯も美味しく、はじめは毎日楽しく過ごしました。しかし、滞在1か月ほどで誤解をきっかけにホストマザーとの関係が悪くなってしまいました。この時は精神的にとても苦しかったです。それでも友人に励ましてもらいながら、ホストマザーとの毎日の挨拶を大切にし、意識的に会話する時間をつくりました。そのコミュニケーションがお互いの文化や考え方を伝える・知るよい機会となり、お互いについて理解が深まるに従い誤解も解消して関係改善に繋げることができました。滞在期間が終了しても、ホームパーティに招待してもらうなど、とても仲よくなり、今ではホストマザーがアメリカにいる第二の家族のような存在です。

また、春から通っていた語学学校に、コロンビアやブラジルの生徒たちが訪れ1か月間共に授業を受けました。彼らは合衆国の大学院進学を目指していたため、とてもアカデミックな英語を使い、英語力の違いに初めは少々戸惑いました。彼らに合わせて授業のレベルも高くなり、ついていくのに苦労しましたが、自分にとって難しいのは当然だと割り切り、分からないなりに彼らに質問して授業に積極的に参加しました。彼らの専門的な議論は難しかったですが、とても興味深く、同じ空間で学べたことを誇りに思っています。夏は挑戦や失敗からの学びが多く、人間力・英語力の面で成長できた季節でした。

秋学期

いよいよ秋学期から学部授業が始まりました。移民について学びを深めるという目標達成のため、社会学入門や地理学入門の授業を履修しました。最初の授業では、クラスのスケールとスピードに気をとられすぎて、気が付いたら授業が終わっていて驚きました。2週間目からの授業では、クラス内で友人をつくって授業について相談できるようにしたり、授業後に教授へ質問にいったり、予習をしていくなど積極的に自ら行動することで何とか授業についていけるようになりました。課題に関しては、毎週エッセイのライティングや参考資料のリーディングなど膨大な量を課され、友人との予定とバランスを取ることに大変苦労しました。オンオフの切り替えや、余裕を持ったスケジュール管理を心がけることで、勉強と遊びを両立しました。何よりも苦労したのは、ディスカッションクラスです。授業には必ずディスカッションクラスという50分のミニ授業があるのですが、クラスメイトがすらすらディスカッションをしている中になかなか参加できず悔しい思いを何度もしました。そんな時は、グループの人に自分が理解できていない部分を伝え分かりやすく説明してもらったり、自分の分かっている範囲で自分の意見を述べることで発言量を増やしました。このようにして授業の深い理解ができただけでなくクラスメイトにもなじむことができました。

受講した授業の中でも、特に、アメリカの人権問題の一つ、黒人奴隷を基盤とした過去の社会構造とその今日への根深い影響について学べたことで、人種差別問題の深刻さを知ることができ、移民問題・人権問題に対する興味がより高まりました。日本には現代の奴隷制度と呼ばれる技能実習制度があります。アメリカの歴史で起こったようなひどい人権侵害が現代で起こらないために、日本に住む海外ルーツの人々を自分の手で少しでも支えられたらという思いが強まりました。秋は学部の勉強で学びを深められただけでなく、数多くのイベントを通した異文化体験や友人との思い出も沢山できて、充実したタームとなりました。

最後に

ここまで御覧いただきありがとうございました。留学中は友人、生活、学業についてそれぞれ沢山の困難がありました。そのたびに失敗を繰り返しながらも自分で工夫し乗り越えたからこそ、帰国する時にはやり切ったという思いをもつことができました。しかし、それだけではありません。自分の努力もそうですが、同時に周りの人からの支えにも沢山助けられました。友人はもちろん、たまたま知り合った人に助けてもらうこともあり、人とのつながりを大切にすることの重要さを今回の留学を通して改めて感じました。また、オレゴンという町の人たちのやさしさ、フレンドリーさに何度も励まされたので、私もそんな人間になること、そのうえで人と人の繋がりを大切にできる人間になることが、これからの私の目標です。

名古屋外国語大学の皆さんへ

もし、皆さんの中で留学にいこうか迷われている方がいたら、私は留学にいくことをお勧めします。もちろん留学にいくためにテストで一定の点数を取らなければいけなかったり、留学中の沢山の困難に直面してくじけそうになることもありますが、その一つ一つが少しずつ自分を成長させてくれるステップだと思います。私も、留学の前と後では自分でできることが格段に増え、沢山の文化体験を重ねた結果見える世界が変わった実感があります。また、名古屋外国語大学の交換留学への金銭的サポートはとても手厚いと思いました。オレゴン大学にいた他大学からの留学生と比較してもここまでサポートしてくれる学校はなかなかなかったので、この制度を活かしてぜひ留学に挑戦することをお勧めします。この記事が少しでも、皆さんの背中を押せていたら幸いです。

オレゴン大学のリリス・ビジネス学科棟(Lillis Business Complex)です。大学はとても広くて、毎日大学内を歩いているだけでも歩数計が一万歩計測してしまうほどです。施設は古いものから新しいものまでありますが、きれいで快適に利用できます。学内で沢山のイベントがあるので、積極的に参加すれば毎日色々な学生と交流できると思います。

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実は、オレゴン大学はスポーツメーカー、ナイキの創設者フィル・ナイト氏の母校です。なので、学内に沢山ナイキ出資の建物があります。例えばこのヘイワード・フィールド(Hayward Field)。2022年世界陸上の会場にもなり、沢山の人が世界から訪れました。私もこの場でボランティアをやるなどとても貴重な体験をさせていただき、思い出の場所です。

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これはアンサンク・ホールにある学食のワッフルです。ナイキシューズのデザインがされていてとてもかっこいいですよね! 学内の寮には沢山のご飯屋さんが入っているので、毎日飽きずにご飯が食べられることもオレゴン大学の魅力です。私のお気に入りは、このワッフルとアマゾン発祥のアサイーのスムージーにトッピングをのせたアサイーボウル:) 他にもラーメン、カレー、ブリトー、ハンバーガー、野菜ボウル等があります。

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オレゴン大学があるオレゴン州ユージーン市は自然であふれています。オレゴン大学の生徒に近くのお出かけスポットを尋ねると、必ずスペンサー・ビュート(Spencer Butte)というこの山の名前が出てきます。それでも、市内にはショッピングモール等もあるので、不自由なく過ごせますよ。

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