Study Room of Akihiro HIRAYAMA,
lecturer at Department of World Liberal Arts, Nagoya University of Foreign Studies




フィリピンとのかかわり
スライドの写真は,リサール州ロドリゲス町の街角を写したもの。マニラに隣接する同町では,近年のマニラの発展と拡張にともない,住民数が増えています。新旧住民が協力しあい,住みよい町をつくる試みが進められています。
ふとしたきっかけから物事がはじまって動きだし,それが人の人生を思いもかけない方向に変えていく,そのように偶然からはじまる転機を,人はだれしも経験したことがあるのではないかと思います。私にとって,名古屋外国語大学の世界教養学科に所属するなかではじまったフィリピンとのかかわりは,そうした経験のひとつです。そのかかわりは,また ,自身の教育活動の大事な一コマをなすにいたりました。大学における教育のかたちを問い,実践する貴重な契機となっています。ここでは,そうしたフィリピンとのかかわりの一端を紹介します。
フィリピン現地研修
スライドの写真は,フィリピン・マニラの小学校を写したもの。1枚目と2枚目がラクソン小学校,3枚目と4枚目がヤンコ小学校。両校には,トンド地区の子どもたちが通う。トンド地区は,かつて「スモーキーマウンテン」と呼ばれるゴミ捨て場があり,そのゴミのなかからお金になるものを集めて生計を立てる人びと,Scavengerと呼ばれる人びとが集まって住んでいた(ゴミ捨て場は1995年に閉鎖され,他の地区に移る)。貧困をはじめとしたトンド地区の社会問題に取り組んできたベニグノ・ベルトラン神父は,この地区に生きる人びとが直面してきた問題は,今日の世界が抱える問題を縮約したものであるかのようだと述べている。
2018年度にひきつづき,2019年度も,マニラおよび周辺地域での6週間の研修実施を予定していましたが,マニラへの出発を目前とした2020年1月12日(日)に,マニラ近郊タール湖火山が噴火しました。噴火により被害を受けた現地の方々の状況を心配しつつ,その後継続する噴煙,地震の状況を追うなかで,参加する学生の安全を考慮し,研修を中止する判断をくだしました。
参加を予定していた学生7名も,引率教員の平山も,現地の方々への心配と,研修中止に対する落胆とが入り交じり,複雑な感情の状態がつづきました。ですが,その後,マニラと周辺地域に滞在するはずだった6週間の期間を使って,特別授業を組む運びとなりました。この特別授業の目的は,(1) 英語の基礎力を固めること,(2) 世界中の社会について理解を深めるために,物の見方,考え方を広げること,(3) 国際協力に関する実践的なマネージメント能力を高めること,(4) 専門的な内容の英語文献を読み解くこと,の4点に設定しました。特別授業の一環として,NGO 訪問などの課外活動も予定しています。こうした特別授業を通して,ひとりひとりの学生が,それぞれ,大きく成長してくれることを願うばかりです。
この研修は,フィリピンの大学での3週間の学習(英語4技能を向上させる学習+今日の世界が抱える貧困・格差等の社会問題を英語で学ぶ学習)と,貧困地域にある幼稚園・小学校や障がい者支援団体での3週間のインターン活動からなります。2019年2月,3月に実施されたこの研修は,2018年2月に実施された「2017年度 地域研究・国際研修プログラム(フィリピン)」と同じく,NGOライズエイジアの上田敏博さんが企画と運営にかかわってくださいました。上田さんは,今回も,研修の全期間,同行くださいました。同行くださる上田さん,引率教員の平山のもと,研修に参加する16名の学生が,貧困・格差という社会問題について現場で考え,行動する力を身につけました。
2018年2月17日から27日にかけて,名古屋外国語大学現代国際学部国際 教養学科主催の「2017年度 地域研究・国際研修プログラム(フィリピン)」が実施されました。この研修の引率教員として,20名の学生を連れて,フィリピン共和国の首都マニラや,マニラに隣接するリサール州ロドリゲス町を訪問しました。本研修の企画と運営にあたっては,NGOライズエイジアの上田敏博さんから全面的な支援を得ました。上田さんは研修期間を通して同行くださいました。本研修をお認めくださった国際教養学科のみなさま,現代国際学部のみなさま,研修の実施にあたりご指導くださった外国語学部のみなさま,大学各部局のみなさまには,心からお礼申し上げます。また,NGOライズエイジアの上田さんにも,面倒なお願いをする場面が多々あったにもかかわらず,丁寧に対応してくださり,ただただ感謝するばかりです。
日本でできること
スライドの写真は,フィリピン・マニラの貧困地区トンドの一角を写したもの。トンド地区は,かつて「スモーキーマウンテン」と呼ばれるゴミ捨て場があり,そのゴミのなかからお金になるものを集めて生計を立てる人びと,Scavengerと呼ばれる人びとが集まって住んでいた(ゴミ捨て場は1995年に閉鎖され,他の地区に移る)。貧困をはじめとしたこの地区の社会問題に取り組んできたベニグノ・ベルトラン神父は,この地区に生きる人びとが直面してきた問題は,今日の世界が抱える問題を縮約したものであるかのようだと述べている。
大学祭企画・勉強会
2018年第23回合同祭企画
2018年10月20日(土),21日(日)に,大学祭が開催されました(名古屋外国語大学・名古屋学芸大学 第23回合同祭)。平山研究室では,この大学祭にて,フィリピンの社会問題について,より多くの人に知ってもらう企画を実施しました。企画の内容を構想してして具体化してくれたのは,世界教養学科の学生を中心とした有志です。国際教養学科の学生も,大きな役割をはたしてくれました。有志学生のみなさんは,パネル展示でフィリピンの社会問題を伝えたり,フィリピンの障がい者がつくる商品を紹介したり、といった企画内容を考え,必要な準備を進めました。2018年5月以降,3週間に一度ほどの頻度でみなが集まる場をもち,企画内容について話しあうとともに,企画をより充実したものにするために,フィリピンの歴史と現状,社会と文化,政治と経済について文献を読み,自分たちの理解を深めていきました。
課外活動
【「名古屋からSDGsで世界をつなぐ」ボランティア】
2019年7月6日 (土),7日 (日) の両日に,「その一歩で世界を変える! 名古屋から SDGs で世界をつなぐ!」が開催されました。場所は,栄の「オアシス21」です。このイベントは,公益社団法人名古屋青年会議所,フィリピンフェス東海,名古屋レインボープライドの共催によって実施されました。
昨年2018年7月には,名古屋外国語大学の学生の皆さんが,「フィリピンフェス東海2018」の当日運営に携わりました。今年2019年には,「その一歩で世界を変える! 名古屋から SDGs で世界をつなぐ!」でのフィリピンフェス東海のブース運営やステージイベント運営をお手伝いしました。さらに,11月2日 (土),3日 (日) の両日に開催される「フィリピンフェス東海2019」でも,会場整理のお手伝いをしました。
「その一歩で世界を変える! 名古屋から SDGs で世界をつなぐ!」で,フィリピンフェス東海は,フィリピンのダバオのインフラが整っていない地域の恵まれない子どもたちに靴を届ける「Happy Shoes キャンペーン」や,「SDGs クイズに挑戦!」(国連支援交流協会企画),「世界の民族衣装を着てみよう!」(青年海外協力隊愛知県OB会企画) といったブース企画などを実施しました。
「継続は力なり」ということわざがありますが,様々な社会活動への地道なかかわりが,ひとりひとりの学生にとって,なにがしかの成長のきっかけになることを信じています。
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フィリピンフェス東海のイベント告知チラシ ↓ (11月の「フィリピンフェス東海2019」の案内も掲載されています)

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イベント当日の模様はこちら! 写真つきでイベントを紹介しています。
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ただし,イベント紹介は英文です。
7 月 6 日 (土)
7 月 7 日 (日)
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「フィリピンフェス東海 2019」の模様はこちら! こちらも,イベント紹介は英文です。写真つきです。
11 月 2 日 (土),3 日 (日)
【"The 35th International Philippine Festival in Nagoya" ボランティア】
2019年5月26日 (日) に,名古屋国際センター別棟ホールにて,"The 35th International Philippine Festival in Nagoya" が開催されます。平山の呼びかけに応じてくれた学生の皆さんが,このイベントの当日運営に,ボランティアとして携わりました。日本語学科,現代英語学科,世界教養学科の学生のみなさんです。
このフェスティバルを主催するのは,中部フィリピン友好協会 (Chubu Philippine Friendship Association) です。リンダ・タキさん (滝リンダさん) を中心に設立されてから 35 年がたつ同協会は,これまで長きにわたり,日本在住フィリピン人が,母国とは違う生活環境で生きていくうえで直面するさまざまな問題の解決に取り組むとともに,日本在住フィリピン人同士の交流や,フィリピン人と日本人の交流を促進してきました。
折しも,2019年4月1日に改正入国管理法が施行されました。海外からより多くの人びとが日本にやってくることが予想されるなかで,人と人とが積極的に交じりあう新しい日本社会を築いていくことが,今後,ますます求められます。そうした今後の展望のなかで,中部フィリピン友好協会のような団体の役割は,より大きいものとなっていくと思われます。
ボランティアとしてフェスティバルの当日運営に携わる学生が,中部フィリピン友好協会の活動の一端にふれることで,大きな刺激を受けてくれたことを願うばかりです。
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"35th International Philippine Festival in Nagoya" チラシ ↓
